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勝手にふるえてろのsacoのレビュー・感想・評価

勝手にふるえてろ(2017年製作の映画)
4.2
これはもう松岡茉優の魅力そのものという感じだった。
彼女の声、彼女の台詞回し、間の取り方、表情、動き、全てがこの作品の中で生き生きと描き尽くされている。彼女でなければ、これほどピタリとはハマらなかったと思う。
本当に隅から隅まで、久しぶりに無駄なく楽しめるラブコメだった。
“良香”の脳内と現実が境目なく絵画で言うところのグラデーションのように上手く混ざり合って、途中ミュージカルになるところでさえ何の違和感なくその良香ワールドに引き込まれる。
上手いなぁ。
原作者の綿矢りさが描き出す、社会に上手く適合できずに微妙に内向的な生き方をしている主人公を能動的に、ものすごく面白く映像化して表現している。
ともすると、とても鬱々となりがちな部分を、積極的にユーモアたっぷりに明るく見せて、実は....と現実を晒したところから、話がきちんと気持ち良く着地するまでの展開も素晴らしい。
本当に、見ていて飽きの来ない作品だった。
『色即ぜねれいしょん』の渡辺大知くんも久々印象に残ったし、オカリナ(笑)も、釣りのおじさんも、コンビニの店員も、趣里も。
無意識の毒を吐く同僚の女の子も。
ぜーんぶ、良かった。

ただ、最後に良香が言う「勝手にふるえてろ」は、全ーーーー然ダメです。
あんな取ってつけたような不自然なセリフは要らない、興ざめでした。今からでもいいからカットして欲しい。とても残念です。
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