fonske0114

勝手にふるえてろのfonske0114のレビュー・感想・評価

勝手にふるえてろ(2017年製作の映画)
4.0
あるOLが恋と理想の恋、現実と空想に悩み葛藤するラブコメディ。
恋愛もの中心な一方、社会における孤独や葛藤も描かれたドラマでもある。


以下ネタバレ感想を。


本当に好きな人か居心地のいい相手とどちらがいいのかという恋愛劇かと思いきや物語中盤からの自分の世界が崩れていく展開は圧巻。

恋愛劇でいえば男女の異なる価値観や思い込みが描かれているが、その一方で絶滅生物、自分が見たいように物事を見て妄想して生きている世界と現実が作品の主軸。

物語中盤、自分が名前を覚えていないのは平気なのに、自分が名前を覚えられていないという皮肉な出来事から自分の世界は崩れ落ちる。
視聴者にとってはそれまで見せられていた映像の多くが(中学から片思いな彼に対しても)主人公主体であり妄想していたものだったことがわかる。
現実世界は人との接点は皆無で孤独な自分という厳しさに襲われる。

それ故惹かれていく恋人候補だが(花火で恋の炎を描写)、それもなくなり孤独と破滅、自分の絶滅へと繋がる。

松岡茉優がミュージカル調の明るい役から自己解放し素の自分を出すキレ役、絶望的シーンなど後半になるにつれて様々な表情を表現している。

実家はあるも家族は誰も登場しないため、東京という都会における孤独が色濃く描かれている。

前半半分はSEなどもあってコミカルでテンポよく、中盤からシリアスに、しかしラストが微妙だった。

タモリ倶楽部の空耳アワーのネタは細かく、今では伝説の「ナゲット割って父ちゃん」ソング(原曲NINE INCH NEILS)を松岡茉優が口ずさんでいたのに笑った。
fonske0114

fonske0114