このレビューはネタバレを含みます
裕福な貴族に嫁いだ少女の話。
女性の人権が認められていない時代の話で、序盤は主人公が夫から冷遇され、抑圧されて生きてる様子が描かれる。
ところが、夫の留守中に使用人とセックスをした事をキッカケに、主人公は秘めた欲望を解放していくのだった。
保守的な価値観への反抗として、“セックスをしまくる”というのが面白い。
最初はレイプみたいな感じだったけど、例えレイプ魔でも自分を求めてくれるだけで嬉しい…それだけ彼女の心は飢えていたのだろう。
そして、セックスは踏み躙られた彼女の尊厳の回復、自己肯定感を高める上でも有効だったと思われる。
主人公を演じるのは、フローレンス・ピュー。
周囲に虐げられつつも、彼女の太々しい表情は相変わらずで、この意思の強さを感じさせる佇まいこそが、彼女の魅力なのだと再認識させられた。
調べてみると、本作はデビューから2作目という事で、ほとんど新人に近いキャリアにも関わらず、これだけ堂々とした演技を披露している事も驚きである。
映画の話に戻ると、その後の主人公はやりたい放題。
邪魔な義父に夫を始末すると、遂には夫の隠し子まで手を掛ける事に…。
結局のところ、人命の軽視…人を人として見れなくなった時点で、彼女は悪魔になったも同然だし、恋人の気持ちを無視する=自分を虐げてきた男達と同類の存在になってしまったという事だろう。
そんな破滅的な結末も含め、フローレンス・ピューのパンキッシュな魅力が存分に味わえる本作。
彼女のファンなら、マストでチェックして欲しい作品だ。