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雪道のtakaのレビュー・感想・評価

雪道(2015年製作の映画)
4.0
従軍慰安婦として連行された少女が当時の回想と年老いた現代とを行き来しながらストーリーが展開していく。テーマ性を声高に主張する作品かと覚悟して見たが、何よりも映画として完成度が高く、特に当時のエピソードが淡々として描かれているのがこの作品に品を醸し出している。日本軍の蛮行の描写でこのテーマを描くのではなく、その中で翻弄されながらもアイデンティティを持ち続けようとした少女たちを描くことで静かにそして深く私たちに訴える。最後に現在の韓国政府登録従軍慰安婦の存命者が11名となったとするテロップが出る。この間の日本政府の冷たい対応を思い起こし、日本人としてあらためて良心を揺さぶられる思いだ。また、主人公の現在を演じたキム・ヨンオクはもちろん、少女時代の主人公とその友人を演じた二人の熱い演技力も見事。この映画の上映が全国的に広がることを心より願う。
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