ベビーパウダー山崎

トルコ110番 悶絶くらげのベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

トルコ110番 悶絶くらげ(1978年製作の映画)
4.0
うぶな少女がヤクザに騙されヤク中のトルコ嬢へと堕ちていく。ドラッグで麻痺した肉体、セックスは太ももに刃を刺しながら痛みとともに快楽を得るしかなくなる地獄。そのトルコ嬢とどうにもならなくなった負け犬のチンピラが寄り添い、寝て、逃げる。このサブストーリーの痛々しさがやけに良い。
たんなるヤク中に一つ異様な描写を書き足すことでぐっと増すリアル感、悲壮感。ファンタジーを抜きにした弱者とヤクザ(チンピラ)、社会から外れてしまった人物を書かせればとにかくうまい荒井晴彦。性根の悪さが滲み出ているから強い。
呑気にトルコに飛び込んだ原悦子も最後には立派なベテランとしてヤクザを手玉にとるほど。それはコメディのように撮してはいるが、あのドギツイ化粧を見れば、もうこの沼から抜け出せなくなった恐ろしさもしっかり感じ取れる。ヒモに金をむしり取られている片桐裕子の薄暗さ。セックスと暴力は、つまり人間の欲と弱さ。素晴らしいと思う。