ぐるぐるシュルツ

ペピ、ルシ、ボンとその他大勢の娘たちのぐるぐるシュルツのレビュー・感想・評価

3.6
そして復讐の鬼と化した。

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こちらは、スペイン生まれの独特なセンスを持つペドロ・アルモドバル監督の記念すべき1作品目。

人間の欲望にうっすら焦点を当てながらも、
破茶滅茶かつナンセンスなユーモアで詰まられたおもちゃ箱みたいな作品。
バタバタの章立ても面白かった。
『ペピは復讐の鬼と化した』
レイプを軽々しくわちゃわちゃ描いといて、アニメのようなテロップのこの落差よ。

複数の登場人物が画面内にしっかり収まってるのがチープ感を増させているものの、一人一人にじっとり感情移入なんてさせねぇぞという絶妙な距離感は結構心地よい。人間たるもの、かくあるものだ。

そして、この前観た『クラークス』と同じように主人公のペピとルシ、ボンのバランスが最高。
最後二人で歩くシーンなんて謎のカタルシス。
橋の上でこれからのことを話しながら一本撮りで歩くって、『トレイン・スポッティング』のような昂揚感もあったりして。

少々猥褻な表現も多いけれど、なんだか嫌味ったらしくない。これがスペイン流の情熱か。

好きなもんは好きなんだと仁王立ちしているような作品だった。