昨日観たんですけど今でもどう表現していいかわからないスクリーンに吸い込まれるような不思議な感覚の映画でした。
天からの物凄いお膳立てとは言え、それでも心と体を思うように動かせないチグハグな恋模様。戸惑いや喜び、混じりけのない感情を丁寧に切り取った寓話と現実の重なりに心底持ってかれた。哀れみ漂う屠畜場で出会った孤独な2人に注がれる哀憐の眼差しとそこにある温もり。
アスペルガー症候群らしき特異反応を見せる若く美しき女性と人生を諦め恋に対しても距離を置いた中年男を結ぶ鹿の夢。その神秘的で気高い幻想に対して痛烈に現実の厳しさを映す牛の屠殺シーン。夢と現実、両極の交わりが想いに反して躊躇する二人の心情とシンクロし単なる恋愛モノを超える極上の刺激や輝きを生む。
静かに淡々とではあるけどずっとシリアスかと言えばそうではなくて純粋な恋の喜びや人を好きになることの尊さを驚く程ストレートに描いてる。特に戸惑いながらも感情溢れるマーリアのピュアな行動の数々や愛に溢れた笑顔にはハッとさせられる破壊力がありました。
なんて事無いと言えばそんな物語なんやけどなんか直接意識に語りかけてくるような心地良さ。大好きです！
