娘を爆破テロで失った中国人のレストランオーナーに扮するジャッキー・チェンがテロを起こした犯人に復讐するための鬼と化すサスペンスアクションもんや。
まずこの映画がええなと思ったとこは、アクションもんにも関わらずCGを使てへんとこや。最近この手の映画でCG無しは珍しいんとちゃう。多分全部実写やと思たわ。爆発シーンも迫力とリアリティーがやっぱり全然ちゃうな。
それとこの映画の下敷きには所謂「北アイルランド紛争」があんねん。元々アイルランドは、イギリスとの20世紀前半の独立戦争の末に共和国として独立すんねんけど、北部の6州（北アイルランド）だけが、イギリス領として残ってまう。この北アイルランドでは1960年代から、イギリスからの独立してアイルランドへ帰属を求めるカトリック系の住民と、イギリス帰属継続を求めるプロテスタント系住民が対立、これが俗に言われる北アイルランド紛争や。実際イギリスとアイルランドの間は戦争状態に近い状態になったし、テロかてもの凄いエライことになったんや。
この映画の一番のポイントは主人公のおっさんにとっては北アイルランド紛争なんか何も関係あれへんちゅうとこや。このおっさんは中国系の移民やさかいアイルランドの独立とかどうでもええねん。おっさんの頭の中にはテロ事件で死んだ娘とその犯人ことしかあれへん。国家間の歴史とか事情とかは、たった一人のこの完全に壊れてしもた中国人のおっさんの訳の分からん暴力でワヤくちゃになってまうとこがこの映画の一番の見どころかな。国同士の事情とか全く関係なく、只々「犯人教えろ」だけで暴れまくるおっさんの前には、国家も宗教もへったくれもあれへんかったな。
映画の題名が「ザ・フォーリナー」っちゅうんはそういうことなんやろな。中々深いで。
