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ザ・フォーリナー/復讐者のsomaddesignのレビュー・感想・評価

ザ・フォーリナー/復讐者(2017年製作の映画)
5.0
還暦ジャッキー新境地!

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ロンドンでレストランを営むアジア人クァン・ノク・ミン。妻に先立たれ、愛する娘と二人暮らしをしていた。そんなある日、北アイルランド解放無差別テロに巻き込まれ、愛娘を失ってしまう。静かな怒りに燃えるクァンは、犯人を探すうちに北アイルランドの副首相リーアム・ヘネシーの存在にたどり着き、復讐を果たそうとするのだが……。

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劇中、一度も笑わないジャッキー初めて見た!(少林寺・木人拳を除く)

いわゆる『舐めてた奴が殺人マシン』もの。通称『ナーメテーター』もの、アジア版最高峰。今更、ジャッキー・チェンを舐めてる人はいないと思うけど、この世界観の映画ならジャッキー以外に適役いないっしょ。年齢だけでいえば初老で、小柄なロンドン在住のアジア人……
いかにもナメられそう。


過去最高にダークなジャッキーが見られる眼福。
のっけから愛娘とのイチャイチャもなく、もうすぐ巣立ちの時期を控えた娘を寂しく愛おしく見守る眼差しが予告編でその後の展開を知っている分ツライ。
反転して、娘の仇を取るべく狂人化してく様が過去最高にダークで、「闇落ちジャッキー」を初体験(*≧∀≦*)

これまでも結果的に「こりゃ敵役死んだな」と思うアクションはあったにせよ、はなから殺しにきてるジャッキー見たことない。コミカルさ・派手さを排して、的確に一命を奪いにくる。復讐のためってより、自分の過去と向き合って理不尽な暴力にどうしても決着をつけたいキャラに見えて終始悲しくて居たたまれない。
一生消えない戦争の爪痕を通じて、戦争やテロリズムに対して改めて「NO!」を突きつけてるようにも見えた。暴力に勝者はいない…的な。


ピアース・ブロスナンは老境に至ってもセクシーさ健在。必ず半裸でベッドで美女とイチャつくシーンを入れるお約束も健在。頭髪と違ってご自慢の胸毛はまだまだ黒々としていて、流石元ジェームス・ボンド、老いてなお絶倫!
調べたら、ジャッキーとピアース・ブロスナンが同い年なのも面白かった!
マーティン・キャンベル監督といえば「グリーン・ランタン」の大コケが記憶に新しいけど、元々は「バーティカル・リミット」を筆頭に「007ゴールデンアイ」「カジノ・ロワイヤル」とアクション映画の名手。ダークで不穏なショットでミスリードを誘うのも作風かしら。ライアン・レイノルズに続いて「グリーン・ランタン」の大怪我から復活できて良かった(*´Д`*)


現在日本で公開されているのは、日本や中国向けに編集された特別版。インターナショナル版だとテロ組織をハッキリIRAと明示しているのに対して架空の組織UDIに改変してたり、クァンにまつわる政治的背景をバッサリカット。おかげでジャッキー映画らしいコミック感が増しているとも取れるし、ジャッキー新境地であるダークサイドの魅力が半減してるようにも感じた。

ジャッキー映画特有の主人公の年齢に対して恋人役が若すぎる件。志村けんに通じるエロ味っちゅーか、志村が全身BATHING APE着てる感じに似てる。
大オチの「寝てるドラゴンを起こす必要はない」ってセリフも如何にもジャッキー映画的だったし、エンドロールのジャッキーの歌で「お前が歌うんかい!」とツッコんでしまった😓

新境地開拓!と同時に、易々と新しくは変われない難しさを見せられたよう。

44本目
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