あやっぺ

デトロイトのあやっぺのレビュー・感想・評価

デトロイト(2017年製作の映画)
3.8
コレはすごい・・・予告見た時は「1967年デトロイトでの黒人による暴動のある一夜の話なんだ、ふーん」くらいだったんだけど、観てみたらハンパない緊張感のある作品でした!

あのモーテルで起きていた事はまさに当時のデトロイトの縮図だった。今まで差別され、警官達に理不尽な扱いをされてきた黒人達の破裂寸前だった怒りが1つの出来事から遂に爆発して暴動になったのも、やむを得ないだろう。当時の警官達の黒人に対するあまりの横暴ぶりに怒りがわいてくる。

‪モーテルでの一夜・・・あれが尋問?あれが法治国家の警察機関?もはや別世界、腐った恐怖の茶番劇、あの空間はもう正義とは名ばかりの腐敗した権利を振りかざした差別主義者の独壇場と化していた。そして巻き込まれた彼らのその後の人生は、その一夜で変わってしまった・・・‬

上映時間142分と聞いた時は長いな〜と思ったし、冒頭(登場人物達の人となりを知る場面)でこの上映時間は厳しいそうと思ったけれど、モーテルの場面から一気に場の空気が張り詰めて緊張感でいっぱいになり あっという間に時間が過ぎていきました。キャスリン・ビグロー監督の手腕恐るべし!

アメリカ映画や海外ドラマでよく警察がミランダ警告って被疑者の権利を読み上げるアレ、義務付けられたのは1966年のこと。デトロイト暴動はその翌年・・・制定間もない規則で適用の範囲とか手順等まだ曖昧だった頃だったのかも(この事件の加害者達は、警察官相手の取り調べだったから権利は知ってるものとして読み上げられなかった)だし、当時警察官の犯罪行為に対する刑罰は甘かったのかもしれないが・・・あらゆる点で不公平で理不尽すぎて悔しさが込み上げる。そして50年経った今は事態がマシになったかと言えば…まだまだ差別による事件は起き続けている、というのもこの映画を観終わった後の何とも言えない気分の悪さに拍車をかけるのではないでしょうか。
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