あやっぺ

彼女が好きなものはのあやっぺのレビュー・感想・評価

彼女が好きなものは(2021年製作の映画)
4.2
オンライン試写会にて鑑賞。

ここ十数年で日本でもLGBTQへの認識が高まりつつあり、おそらくこの先も男女と異性愛だけで成り立つようなシンプルな世界では無くなっていくだろう。

とは言いつつ、自分は同性愛に理解があるともBL好きだから全然受け入れちゃうよとか思いつつ、私達の周りにカムアウトできずに自分を偽り苦しむ人達がいるとは思ってもいない。いるとは思わずに茶化したり、まるで"キャラ"のような扱いをして・・・
紗枝はBL好きだけれど、まさか好きになって付き合った純がゲイだったとは思わなかったしね。

映画では純の視点からなので、無理して周りの男子に合わせて女の子好きなフリをしたり、女の子と付き合ってみたり・・・辛い。自分が普通ではない、普通になりたいと悩み苦しむ姿が辛い。まさかのアクシデントでゲイであることがバレてしまった後の周りの反応こそ、カムアウトすることの恐さだよね。

青春映画で更にBL絡んだ話だから面白いそう!とか思うと結構真剣な話なので驚くかも。人を好きになる、人を愛する、それだけの話なのに同性が異性かでこんなにも変わってしまう。性的指向(や性自認)で無意識の差別があることが浮き彫りにされる。

けれど、とても良い映画。純を通してゲイであることを隠し通す苦しさを垣間見て、純の真実を知った紗枝の選択と勇気を見て、どんな時も味方の幼馴染の亮平の存在があって。どれもこの物語に厚みを持たらす存在で愛おしい。ぜひ観てほしい作品です!
あやっぺ

あやっぺ