ばーどイヌサンローラン

デトロイトのばーどイヌサンローランのレビュー・感想・評価

デトロイト(2017年製作の映画)
3.0
あたなは、ジリジリとせまってくる死の恐怖に耐えられる?!


🐾ちょこっとあらすじ

1967年に起きたデトロイトの暴動を題材にした実録サスペンス。暴動の最中、あるモーテルで警察が宿泊客に行った過酷な自白強要の行方を、息詰まるタッチで映し出す。監督は『ハート・ロッカー』などのキャスリン・ビグロー。『スター・ウォーズ』シリーズなどのジョン・ボイエガ、『レヴェナント:蘇えりし者』などのウィル・ポールター、『リチャードの秘密』などのジャック・レイナーらが熱演する。 1967年の夏、アメリカ・ミシガン州デトロイトで大規模な暴動が発生し、街が騒乱状態となる。2日目の夜、州兵集結地の付近で銃声が鳴り響いたという通報が入る。デトロイト警察、ミシガン州警察、ミシガン陸軍州兵、地元警備隊は、捜査のためにアルジェ・モーテルの別館に入る。数人の警官が、モーテルの宿泊客相手に捜査手順を無視した尋問を開始。自白を強要された宿泊客たちは……。(シネマトゥデイより)




🐾感想

未だに根強く残る人種差別、アメリカの恥部の最深をえぐる!


一言で言えば、胸糞悪い作品です。いい意味で…


もう、観ていて、もどかしさでいっぱいになり、怒りを覚える。



そして緊張感と緊迫感がド迫力で迫ってくる。



コレは作り話しではない、実話だ。



白人警官VS黒人の1967年に起きたデトロイト暴動の一部始終にして、一夜の出来事を、生々しい描写と映像で綴り、観る者を戦慄の恐怖へと誘う。理不尽な暴力に目を覆いたくなる。



コレは作り話しではない、実話だ。


ほんの50年前の。



狂気でカオスなデトロイト。正視するのが、おぞましい。



おぞましさに拍車をかけるキャストが、また素晴らしい。普段、割と飄々とした役柄が多かっただけに、今回、ちょっとびっくりなウィル・ポールター。ホントに嫌な役だ、実に小悪党感が出てる。そしてあのトレードマークともいえる眉毛がホントに不快感を与える。まぢ、クソです。(役が、ですよ)そして朴訥な役柄が似合うジャック・レイヤーは本作でも、割とそう。でも力関係で、否応なしに引きずり込まれていく役どころを上手く演じている。多分、普段はいい人なんだろうな、的な。



そして対する理不尽な目に合うモーテルの黒人たちも緊迫感ある演技で魅せてくれます。アンソニー・マッキー、ネイン・ディヴィス・ジュニア、ジェイソン・ミッチェル、ペイトン・アレックス・スミス、マルコム・デイヴィッド・ケリー、アルジー・スミス、ジェイコブ・ラフティモア、そして白人女性のハンナ・マリー、ケイトリン・デヴァー、そしてデンゼル・ワシントンを彷彿とさせるジョン・ボイエガなど若手のキャストが凄くいい。




自白を強要する死のゲームとは…?



みんなでやれば怖くないではないが、集団心理の怖さ、おぞましさ、加担しなかったにしても見て見ぬふりをした他の州警察も、みんなおかしいから。みんな狂ってるから。狂気の沙汰だから。



でも、コレって、今の時代にも、全然あることだよね。イジメの構造ってこういうことだよね。強者が弱者をたたく。そして、みな、見て見ぬふりをする。だからエスカレートする。



この死のゲームも、まさに、そう。


散っていた尊い命たち、心理的影響で、その後を人生を棒にふった人たち、たくさんの人たちの心に傷跡を残した。特にザ・ドラマティックスのリード・シンガーのラリー。彼はあの事件がなければバンドで成功を収めていただろうと思うと切なくてなりません。彼は白人の為に歌うことを拒否し、生涯を聖歌隊で歌うことに捧げました。



パンフレットによるとラリーは『不運なときに不運な場所にいただけです』『自分は助かったが、一緒にいた友人は生きて出ることが出来なかった』と。


きっと、あの時を境に、心が死んでしまったんだろう…


そして白人警官は罰を受けず、って、もう、怒りで頭から湯気が出そうです。



こんなことがあったっていうことを、観て、知って、感じてほしい。理不尽極まりない人種差別の歴史を。




監督は『ゼロ・ダークサーティ』などの社会派キャスリン・ビグロー。



https://ameblo.jp/bird210bird/entry-12349057942.html