くろねこヤマ子

シェイプ・オブ・ウォーターのくろねこヤマ子のレビュー・感想・評価

3.9
大人を包む
甘いだけじゃない
ファンタジー。

話す事に障害を持つ、
チャーミングな掃除婦。
異生物であり研究対象である
「彼」に惹かれ、
彼女自身にも変化が現れる。

相手を理解すること。
ありのままの姿を受け入れ、
一方通行の
決めつけをしないこと。

それだけで世界は
グッと良くなるんじゃないかと
信じることができる物語。

撒かれる伏線も
スルスルと回収され、
観ているこちら側もスッキリ。

相手に対する
勝手なカテゴライズは
理解する行為から程遠く、
愛からも遠い。

人には良いところも
悪いところもある。
同じものを見ても
同じように解釈しているとは
限らないということを前提にし、
否定することなく
サラリと生きたい。

アメリを赤いファンタジー
とするならば、
シェイプオブウォーターは
ブルーのファンタジー。

「助けなければ私たちも人間じゃないわ」

ほんとにそうだ。
そして人間じゃない人、
この世に案外、多いかもしれない。

しなやかな強さを感じる良作。