えーこ

彼女の人生は間違いじゃないのえーこのレビュー・感想・評価

3.2
舞台は大震災から5年後の福島。
TVなどで見なくなるとつい忘れてしまいがちだけど、
今も仮設住宅で生活をし、仕事に復帰出来ない人も多くいることに、ハッとさせられる。

彼女は市役所勤務、週末は東京でデリヘルのアルバイトをしている。
父親は農業が出来なくなり、今は補償金をパチンコにつぎ込む毎日。
もし震災がなければ、母親が死ぬこともなく、
父親は農業を頑張っていただろう。
震災は家や家族だけでなく、
仕事も人生の意味までも奪ってしまった。

"それでも人は、生きていく"
『恋人たち』の主役の人が出てたけど、、
これもそんな映画だ。
残された者は生きていかなければならない。
楽しかった思い出も悲しかった思い出も、
すべて記憶の中に留めて、前に踏み出さなければならない。

人生に正解も間違いもないわけで、
誰も彼女の人生を否定出来ない。
彼女は彼女なりに震災前の自分を取り戻そうともがいている。

きっと彼女は生まれ育ったこの街で、家族を作り、子供を産みたいと思っているのだろう。
街の復興も、心の復興も、
まだまだ時間はかかるけど、
以前と同じように満開の桜を笑顔で見れるその日まで…
朝日に照らされた街、明るい未来を感じさせるラストに、監督の思いが伝わってきた。
エンドロールで流れる主題歌の歌詞が染みる。
えーこ

えーこ