ふき

ドラキュリアのふきのネタバレレビュー・内容・結末

ドラキュリア(2000年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

ブラム・ストーカー氏の『吸血鬼ドラキュラ』を現代に相応しくアップデートした、ドラキュリア三部作の一作目。
現代に蘇ったドラキュラが、宿敵ヴァン・ヘルシングの血脈のものを始めとする人間と戦うゴシックホラーアクション作品。

現代を舞台に復活したドラキュラものとしては、かなり出来がよい作品だ。
まず単純にジェラルド・バトラー氏演じるドラキュラがいい。不気味さや強さだけでなく、美しさ、儚さ、悲しさ、優雅さなどをキチンと出せてる俳優は、三〇年代からこちら、実は思ったより少ない。
それだけでも及第点なのに、この作品はなんと、「ドラキュラの正体はキリストを裏切ったユダ」という新解釈にまで達してしまう。特に「なぜ銀を嫌うか」の解答がお気に入りで、コロンブスの卵というか、どうして思い付かなかったのかと膝を叩くほどだった。一見クソ映画然としている原題の『Dracula 2000』も、見終わればなかなかどうして気が利いていると思うだろう。

さらにクリストファー・プラマー氏演じるヴァン・ヘルシングもなかなかの味わいだ。ドラキュラの血を使って生きながらえている設定もさることながら、彼のリボルバーボウガンは新鮮だし、チラリと見えるその他の武器も、世界の広がりを感じさせてくれる。ヴァンパイアを壁に縫い付けるアクションも、ちょこちょこと面白い見せ方をして楽しい。

また、上記の点と比べれば地味なところだが、この手のモンスターシリーズの多くが苦慮する「モンスターの復活」が、ちゃんと一連の見せ場になっているのも嬉しい。誰かがバカなミスをして復活とか、脚本と都合で無理くり目覚めさせれるとか、いきなり失笑させてくるケースが多いだけに。

もちろん、全体を通してお話やアクションを見回せば、「良くも悪くもB級」といった評価が妥当なところだ。だがB級として見せるべきところをきっちり見せた上で、新しいワンポイントを提示したのだから、オススメするにたる一作だ。
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