取り急ぎ感想。
“la-la land”が示す通り、ロサンゼルスのハリウッドで夢を追う二人の男女を描いたミュージカル作品。
デミアン・チャゼル監督の前作『セッション』に引き続いて、本作もジャスティン・ハーウィッツ氏の劇伴が素晴らしい。歌がいいのは前提で、インスト曲を含めすべての楽曲が素晴らしい。本作を見てサントラを買わない人間がいるのか、と思うくらいだ。
そしてその楽曲のよさを最大限に引き出す演出がまた素晴らしい。音楽がすべてを支配していく“夢”のようなミュージカル、環境音や人の息遣いや衣擦れといったすべての音が混じり合う演奏、そして音楽がまったく流れない胸が締め付けるような“現実”、どれもが音楽的な快感に溢れている。
お話は『セッション』と同じと言っていい。「夢に夢見ていた人々が現実に打ちのめされ、一度は夢破れるも奮起して……」という展開。だが夢を掴んだらしき感触を得て終わることで苦い後味を残した『セッション』と違い、本作は夢を掴んだあとの現実をもきっちりと描いてくる。だから後味はより万人受けするテイストで、誰もが心地よい感動を胸に劇場を後にできるだろう。
ただ、無粋を承知で比較するなら、私は本作よりも『セッション』の方が好みだ。本作は綺麗に“終わって”しまうので、『セッション』のように深く深く刺さるところまではいかないからだ。
まあそうは言いつつも、大好きなアイドルのライブがあるクッソ忙しい土曜日の朝っぱらから劇場に二回も通い、買ったばかりのサントラを聞きまくって「これは取り敢えずマークしなければならない」と文章を書き、日曜日の今日もライブ開場の近くの劇場のチケットを買って無理矢理三回目を見に行こうとしているくらいには、刺さった作品ではある。
全曲を空で歌えるようになるくらいサントラを聞き込んで、たっぷり時間を空けて映画世界に浸った後、最低でももう一回は劇場で見たい。
