このレビューはネタバレを含みます
「計算されつくされたカオス」。
矛盾しているような呼び方ですが、本当にそうとしか言いようがない作品。
部屋に入った人物が、何かしら行動して去っていく。すると同じ人物が同じ場所から入ってきて……これを延々と反復します。さらに、人物がどんどん増えていき、部屋の中は次第に混沌としていく……
あまりにもカオスな光景ですが、すごいのは登場人物がひたすら増えていくのに、動線や配置が緻密に計算されつくされていること。後半部屋が缶詰状態になっているのに、誰一人かすりもせず、ただひたすら反復行動を繰り返している。
そして7分辺りから、まるでこんがらがった糸がたちまち解けるようにして、登場人物たちが撤収していく。それも、本当に流れるような動き。「あれ、いつの間にいなくなってるぞ?」となり、最後は見ているこちらが部屋に取り残される。
とりあえず、3:07ごろから登場する、灯りを取り換えようとしてテーブルから転落するおじさん、彼の叫び声が忘れられない……