ninjiro

あゝ、荒野 後篇のninjiroのレビュー・感想・評価

あゝ、荒野 後篇(2017年製作の映画)
4.5
あゝ、なんでこんなに人にぶん殴られなきゃいけないんだ。
あゝ、なんでこんなに人をぶん殴らなくちゃならないんだ。

これは未来だけど、未来じゃない。ボコボコにする人、される人、それを眺める構図。こういうの前から知ってるよ。
ずっと昔から俺たちはそうだったし、きっと近い将来、この映画が予言するように、変わらず、変えられず、西暦2021年の荒野に立っているんだろう。
でも、重要なのは、自分がどこに立っていて、どこに向かうべきなのか、その現実に対面して、目を伏せて誤魔化さないことなんだろ。
それだって知ってる。知ってるんだ。
俺たちは知ってる筈なんだよ。

分かり切った事を堂々と言うということは、実は勇気の要る事だ。それでも大事なことは二度三度だけじゃなく、何度でも何度でも繰り返して、自分の血や肉にする必要がある。
それが元は人に教えられたことだって構わない。だってそうだろ、今日日何だって自分で選んでやれないことなんて無いんだから。選んだ自分の責任を忘れるなんてフェアじゃない。だからお前をブチのめす。恨み言なんて聞きたくもない。
運命や、環境や、どうしようもない迷い道。どうしても捨てられないものがある?それがどうした?そこにそのままいるお前自身の有体への言い訳になんて、そんなん到底ならねえよ。

乱暴にぶちまけられる感情。
ぶん殴ってもぶん殴られても一向に構わない8回戦、3×8=24、たった24分間に、何を見に来た?何を期待して今ここにいる?

生まれたくて産まれた訳じゃないけどよ。
暗闇から眼を開ければ見渡す限りの荒野。
響くのはいつか観た映画みたいなセリフじゃないセリフのようなセリフ。
おい、あんた何してるんだよ。こんな暗闇でいつまで待ってたって何も始まらねえよ。誰かの為になんかじゃない、お前の為に闘えよ。
ninjiro

ninjiro