イホウジン

あゝ、荒野 後篇のイホウジンのレビュー・感想・評価

あゝ、荒野 後篇(2017年製作の映画)
4.5
良い意味で観客を裏切ってくれる。

前編とは一変し、後編では感傷的な出来事や描写が多い。前編で負け犬の逆襲がテーマの一つとしてあるならば、後編のテーマは「逆らえない運命」である。死や不景気、遺伝子などその形式は様々で、状況の変化から前編のノリで観るとガッカリ感もあるのかもしれないが、この映画全体を通して現代の日本社会を表現するのであれば納得である。
後編の見どころは、シンジとバリカン(とその周囲の人々が)この逆らえない運命にどう抗っていくかである。それぞれの抗い方に、前後編で追求した「生き方」の答えを見出しているのかもしれない。
話の回収が雑な部分があり、これだけ長い映画なのになぜそれをしなかったのか疑問が残る。脇役たちの心情の深入りも、結果的には中途半端に終わってしまった気もする。
いずれにせよ、150分近くの長編のはずなのに1時間程度の体感で、観ていてとても面白かった。
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