satchan

ロング,ロングバケーションのsatchanのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

オンライン試写会、初めて参加させて頂きました。

認知症のジョン(ドナルド・サザーランド)と、末期癌のエラ(ヘレン・ミレン)がキャンピングカーで、アメリカ東部を南下する旅に出る物語。末期癌を患いながらも、ジョンの記憶を手繰り寄せようと、思い出の写真スライドショーを見せ、介護を続けるエラ。ジョンの記憶は一時的にしか戻らず、病気は進行するばかり。エラは虚しくて、報われない気持ちに襲われます。疲れきって、時には怒ることだってあるし、それが現実の介護だよ、が沢山詰まった映画でした。

在米時に東海岸を南下する旅を夫婦で何度かしたので、風景や地名など思い出と重なり、道中での会話にも共感するシーンが多くありました。本作で描かれている老夫婦の会話は、これから起こり得るまだ見ぬ世界で、学ぶことが多かったです。認知症も介護も、この15年位、身近な問題なので、感情移入できました。エラの切ない気持ち、逆らえない時の流れなど、若い頃に見たら共感できなかったかも。それにしても、男性の食欲って、年齢を重ねても変わらないのかな。

認知症の映画で良かった『きみに読む物語』は、若者時代の回顧シーンが多いので、本作とは描き方が違うかな。介護の映画では、『愛、アムール』も良かったですが、本作の方が明るく描かれていると思いました。映像が明るく、広々とした家並み、綺麗な景色にウットリします。好きなタイプの映画でした。
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