乙郎さん

ちはやふる ー結びーの乙郎さんのレビュー・感想・評価

ちはやふる ー結びー(2018年製作の映画)
5.0
超絶大傑作。小林秀雄「モォツァルト」みたいな書き方になるけど、2年前那覇に戻ってきたばかりの頃に『上の句』を観て、環境の変化が激しかった一ヶ月を経て『下の句』を観て、それから2年、同じ時間を経ていた登場人物たちに自分にも2年の間に起こった変化に思いを馳せるなど。
地方予選の北央戦。松田美由紀が入ってくるのに合わせた長回し。カメラの動かし方がどことなく相米っぽい。その後のシーンでまるでザック・スナイダーのようなスロー。一本の映画の中で相米とザックが手を組むとは思わなかった。
この矛盾したはずの要素が成立しているーーというのが私がこの映画観てスゲえと思った一番のこと。例えば、青春漫画といっても『スラムダンク』と『リバーズエッジ』を同じ括りでは語れないはず。そう思ってたけど、この映画はそれらも包括するような気分さえした。
登場人物が意思を持って動いているから/運命に導かれているから、ウェルメイドな脚本だから/エモーショナルな演技だから、大事なところは映像に託しているから/大事なことは言葉にしているから、すごい。矛盾しているはずの評価が自分の中で並立している気がしました。
あとやっぱり広瀬すずとか野村周平とか真剣佑とか松岡茉優とか、この2年間でほかの映画やドラマで見せた姿がそれぞれの役を補強している気もした。その意味では、2016年の4月3日に見始めた映画を2年かけて2018年3月17日に見終わったんじゃないかと思えた。
乙郎さん

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