dm10forever

リングのdm10foreverのレビュー・感想・評価

リング(1998年製作の映画)
3.9
【決して一人では観ないで下さい】

もう20年位前になるかな・・・

「自分探しの旅に出たいので・・・」

なんて、アホみたいな台詞を恥かしげもなく上司にぶつけ、半笑いで退職届を受理してもらい、会社を辞めた翌週には大阪にいました。
一応学生時代にバイトしていたときの先輩が大阪にいたので、若干頼りにはしましたが相手は女性ですのでそうそうお宅に泊めていただくわけにもいかず、プラプラと一ヶ月ほど関西を一人旅しておりました。
海遊館や吉本心斎橋二丁目劇場(なつかし~)、JRに乗って京都の嵐山なんかにも行ったりしてましたね。

とにかく関西の人は明るくて、北海道からの一人旅ですって言うと大体の方が「ほ~北海道、またえらい遠いところから」と笑顔で接してくれました。

父への土産を買うつもりで入ったネクタイショップのオーナーさんとお話しした時は「実は僕は釧路出身でね。家出同然で家を飛び出してね。流れ着いたのがここ大阪ですわ。」と二人でウルウルしながら30分くらい話したりもしました。

果たしてこの旅で自分を見つけられたのかは定かではありませんが、沢山の「ヒト」に触れることが出来たので良い経験だったと今では懐かしく思い出します。

そんな明るい思い出も吹っ飛ぶくらいの怖かった思い出・・・。

とある夜。
することがなくて梅田にある映画館(名前は忘れちゃった)で映画でも観ようかな~とフラッと入ったのが「リング」でした。
当然ホラーだとはわかってましたけど、「日本のホラーでしょ?そんなに怖いわけないじゃん」と根拠のない自信だけでチケットを購入しいざ劇場へ。
札幌の劇場とは違って横にも広いんですね。入り口入った瞬間に「うわっ、広!」っと呟いたくらい(笑)。
いつも劇場で見る際は端っことか通路側を選ぶんですが、さすがにこの劇場だと端っこが相当行く事になるので、思い切って真ん中辺りで観ることにしたんですが・・・
「平日」「レイトショー」「ホラー」ってこともあり、客足もまばら。
当然のことながら僕の周りにも殆ど人が居ない状態。
それでも最初は「へへ~ん」と余裕をかましていたんですが・・・。

・・・怖い。
それもメチャクチャ。
あの硝子の擦れるような「キ~~~・・」っていう効果音とか、なかなか正体を見せない貞子だとか・・・。

「あ、やばい・・・今日、これ見終わっても一人だった・・・。」

後悔先に立たず。
見ず知らずの地で、誰にも頼ることも出来ない状況で、調子に乗ってホラー映画なんて観るもんじゃないですね。
途中から、本気で背中がザワザワしてました。
そしてようやく解決に・・・え?いや、なんで?終わったんじゃなかったの?!
この2段オチで完全にノックアウト。

若干泣きそうになりながら出て行く若い女の子の後に続いて劇場を後にする僕・・・。

やめときゃよかった。
少なくともホーム(札幌)で観ればよかった。
なんで、よりに寄って大阪で観てしまったんだ。
劇場を出ても自分にとっては異空間のままで恐怖が終わらない・・・。

初めて日本のホラーを全力で怖いと思った。
その後も色々出たけど、この時の恐怖を上回ることがないのは「環境加点」も加わっているとは思うけど、単純に今観てもやっぱり怖いものは怖いよね。
あの日の自分に会えるなら「やめとけ」と一言だけ教えてあげたい。

追伸。
そういえば、劇場の中でキャーキャー言われてる人がいまして、よくみるとハリガネロックの大上さんでした。
現在はハリガネロックも解散して大上さんは芸人を引退されているそうですが当時大阪では絶大な人気があって、僕も大阪に行ってから知ったのですがユウキさんとの掛け合いがテンポよくて好きな芸人さんでしたね。
またハリガネロックの漫才みたいな~。
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