りっく

ミスター・ガラスのりっくのレビュー・感想・評価

ミスター・ガラス(2019年製作の映画)
3.5
「アンブレイカブル」「スプリット」のクロスオーバー作品として、シャマランユニバースを形成した本作は、悲しき過去を背負った三人の男たちの病院からの脱走と対決、志半ばでの破滅を描いているものの、そのスケールは小さい。

正義と悪など関係なく、暴力がエスカレートし周囲の脅威になりうる人間は排除すべき存在であるとみなされ抹殺される男たちの悲哀とあっけなさ。

そして、組織によって抑圧・隠蔽された自分たちの生きていた証が、自分たちを愛してくれたものの手によって社会に拡散され世を変革し、決して特殊能力を持ち合わせていなくても、個々のアイデンティティを覚醒させる予感を漂わせる。

序盤の病院内での冗長さ、スケール感のチグハグさ、アクションの滑稽さ等はあるものの、自らが特殊な存在であることを呼び覚ますサミュエル・L・ジャクソンを中心とした物語は、マーベルなどのヒーローものに対しての、シャマラン流の地味だが意地のカウンターパンチだ。
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