回想シーンでご飯3杯いける

マイティ・ソー バトルロイヤルの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

3.6
「マイティ・ソー」シリーズ3作目にして、劇場公開時からコメディへの路線変更が賛否両論となっていた作品。実際に観てみると、コメディ路線というのもあるけれど、それ以上に舞台設定や世界観、脚本のテイスト等、作品全体が大きくテコ入れされているように感じた。

そもそも「マイティ・ソー」シリーズ自体が、MCUの中で極端にファンタジー寄りで、そこに「アイアンマン」的なラブコメ要素を強引に組み合わせたような不自然さがあった。監督も毎回入れ替わり、要するに映画としての基本路線が定まっていなかったのだと思う。

今作では冒頭から明らかに台詞が多め。アスガルドの隠された歴史を、演劇のスタイルを借りながら小気味よく紹介し、シリーズ初見でも敵キャラであるヘラが復讐に燃える背景が理解出来る構成になっている。ちょい役にもしっかり台詞を与えているからこそ、ユーモアのある台詞も活きて来るし、終盤にも脇役を含めた各キャラクターに見せ場が用意されていて、1本の映画として満足感の高い作品になっている。

今回の路線変更は単なる「コメディ化」では決して無い。MCU作品の中での存在価値がイマイチ見えていなかった「マイティ・ソー」が、真摯に映画作りの基本に立ち返った、実はとても真面目な作品。MCU他作品からのキャラクターに加え、劇中劇のロキ役としてノンクレジットであの人も登場。でも、それがあくまでもオマケに思えるって、つまり本編がしっかり完成している証拠なのだと思う。