ひろゆき

ロダン カミーユと永遠のアトリエのひろゆきのレビュー・感想・評価

5.0
銀幕短評 (#92)

「ロダン カミーユと永遠のアトリエ」
2017年、フランス。 2間時、公開中。

総合評価 100点。 最近 豊作だな。

フランスが本気を出すと、とんでもない映画を作り上げる。

日本の配給会社は 例によってふざけた副題をつけたが、原題はシンプルに「ロダン」。

オーギュスト・ロダン(「考える人」、が代名詞ですね)が、ちょうど100年前に没したという記念年なので製作された。奇しくも100回忌の死没日同日に本作を観たわたしに対して、関係者はなにか記念品を贈るべきである。考える人、型の文鎮がいいな。

ロダンは大好きだ。パリをあちこち遊び回っていたときも、そのはずれに ぽつんとある「ロダン美術館」を訪ねて、館内カフェでランチに赤ワインをガブ飲みしたほどのファンだ。この映画は、もちろんこの美術館の全面協力を得て作られた。美術館の建物は、彼のかつてのアトリエのひとつである。

なので、彼の作品はほとんど知っているし、カミーユ・クローデルとの師弟関係、かつ不倫関係も知っている。

ダンテ「神曲」の地獄篇に題材をとった「地獄の門」が彼の遺作で、「考える人」はその上部中央に据えられた 1パーツ モチーフである。映画は、要所要所で この大作「門」の製作進行を織り込みながら、年月の経過を鮮やかに切り出す。驚くべき長回しのシーンもあれば、短いテーマの暗転つなぎもあり、まったく飽きさせない。

全編は見どころに満ちている。芸術家の炎のような情熱と苦悩、女弟子 カミーユとの熱愛と葛藤と。俳優、演技、カメラ、音楽、照明、道具、ロケ、とどれも完ぺきだ。

本好きのわたしは超長編の「神曲」も無論 読んだ。感想は、、超長くなるので また別稿で。

東京上野の国立西洋美術館に「地獄の門」のブロンズ像が 一体あり、訪れるたびに やはりしげしげと見入る。
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