Kz氏

ゴールデン・リバーのKz氏のレビュー・感想・評価

ゴールデン・リバー(2018年製作の映画)
4.0
原題「The Sisters Brothers」の方が面白いと思うのだけど…。

ベネチア銀獅子賞フランス人監督のウェスタンに惹かれたのだけど、マカロニ・ウェスタンみたいなケレン味はなかった。のは、当たり前で、本家のフロンティア・スピリットだの西部の叙情だのは、もはや博物館の遺物で、相対しようがない。

「提督」の傭兵である殺し屋ジョン・C・ライリーとホアキン・フェニックスが、山師を追う物語。山師は黄金を探す化学式を発見した化学者。というキャラクターから分かるように、無法のマッチョイズムの時代が終焉を迎え、資本主義・民主主義の近代社会を迎える寓話。歯ブラシが象徴的な小道具。無法者の内面の弱さも強調され、ホアキンの狂騒は「JOKER」を彷彿とさせる、「提督」の時代は終わる。

セルジオ・レオーネ監督「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ウェスト」を思い起こすが、欲望のままに暴走すれば破滅する新自由主義も暗示するのが1968年との差異。
Kz氏

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