宙に浮き上がる少年が出てきますが、主役はシニカルだけど妙に倫理的という矛盾した性格のおじさんです。
このおじさんが「善をなした」と喜びに満ちた表情を見せて映画は終わります。
他のレビューで述べられていたように、宗教が絡んだ話なのでしょうね。おじさんはふわふわする少年をみて「天使」を想起するし、空高く上がっていく少年を見上げる街の人々は奇跡を見る表情を示します。
でも、「シニカルな男が神を見つける」というほど単純な寓話とも思えません。映画はキリストを信じない私にも訴える力がありました。
少年は選ばれたものの自覚はないし、聖なる啓示もありません。ただ浮遊するだけです。かれが非人間的に扱われるシリア難民であることも、何かを暗示しているのでしょう。