ぽん

女王陛下のお気に入りのぽんのネタバレレビュー・内容・結末

女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

没落貴族の侍女が、女王の寵愛を受けている側近の性悪女を押しのけて下剋上を果たす、「日曜劇場」的な痛快エンタメかと思ってたのですが。違いましたね。女たちの可笑しくも哀しいドラマでした。

人にもよるだろうが、女王なんてなりたくてなるもんじゃないだろなーと、本作のアンを見て思う。王位継承者だからしょーがないし、なったらなったで跡継ぎを産まなきゃならないし。結局、彼女は十数回の流産、死産を繰り返し、亡くなった子ども達を偲んでウサギに愛を注ぐ。酒におぼれて身体を壊して、毎夜、痛風の痛みに泣き叫ぶ女王。

そんな女王を慰め(心も身体も!)、国の運営の方もガッツリ舵取りしていた怜悧なサラ。レイチェル・ワイズがクールに演じていて素敵だった。そこに乗り込んできたアビゲイル。やたらと男に突き飛ばされるのだけど、そんな事で泣いたりしない根性の座った強い女の子。エマ・ストーンは勝気で聡明な女子が似合う。

そんな2人が女王陛下のお気に入りの座をめぐってバトる物語。サラは何よりアンの「女王」としての存在を支え続けていたと思う。女王である以上、国の繁栄がマスト。そのためにはアン個人の思いを否定したり、政治に関しては自分の判断の方が優れていると自負して、遠慮なく持論をぶつ。
一方のアビゲイルはアンを「1人の女性」として尊重する。(計算だけど) 女王の痛み、哀しみ、怖れなどに寄り添い、優しい言葉をかけ体の奥を慰撫し、本音を察してあげる。

ニーズとデマンドかなーと思った。
サラが満たしていたのはニーズ=必要で、アビゲイルはデマンド=欲求に応えた。女王にとって本当に大事なのはどっちなのか。案外、本人にも正しいチョイスが出来なかったりする。人って弱いから。ラストのオリヴィア・コールマンの表情が凄まじい。キング・クリムゾンのデビュー・アルバムのジャケ写を思い出したw
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