ノラネコの呑んで観るシネマ

希望のかなたのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

希望のかなた(2017年製作の映画)
4.8
年の最後にこんな傑作と出会えるとは。
シリアからフィンランドに流れ着いた難民の青年カーリドと、アル中妻と別れたヴィクストロム。
前半は難民申請し、生き別れの妹を探すカーリドと、レストランビジネスを始めるヴィクストロム、人生の転換期にある二人並行に描く。
そしてある瞬間から二人の人生は奇妙に絡み合う。
モチーフは欧州を揺るがす難民問題とどストレート。
カウリスマキの視点はいつもと同じ様に切なく優しくユーモラス。
しかしその裏側には、自国社会の不寛容に対する沸々とした怒りが湧き上がっているように感じる。
カーリドは北欧にあっては小柄だ。
劇中に、カーリドのことを執拗に排撃しようとする巨漢ネオナチが出てくるが、彼らは難民の背景にあるものなど全く関心が無いのだろう。
フィンランドは戦争がないだけで、難民にとっては希望の国。
しかしたどり着いたはずの希望は、まだ遥か先にある。
ブログ記事:
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