ミーハー女子大生

トロイのミーハー女子大生のレビュー・感想・評価

トロイ(2004年製作の映画)
3.1
【あらすじ】
美しく無謀なトロイの王子パリス(オーランド・ブルーム)は、愛するあまり他国の王妃を奪い花嫁にする。
彼女を取り戻すため差し向けられたのはギリシャの大軍と無敵の戦士アキレス(ブラッド・ピット)。
そして、史上最大の戦いの幕が開く…。
紀元前12世紀に起こったとされるギリシャ神話の悲劇を題材に、恋の情熱によって引き起こされたトロイ戦争を壮大なスケールで描いた歴史スペクタル大作。

【感想】
登場人物の生き方、考え方がよく描かれていて面白かった。 ブラッド・ピット「主演」の作品と思い込んで見始めたが、ブラピ、バナのダブル主演と言っていい内容だった。

とにかく弟の色恋沙汰で始まった戦争で尻拭いをし、功を焦るアキレスの従弟を誤って殺すハメになり、果ては怒りに燃えるアキレスの前にほとんど死ににいくことなるのだから、物語の中でヘクトルは最大の犠牲者。
アキレス役がブラッド・ピットでなかったら観る側にとっての主役は完全にヘクトル(バナ)になっていた可能性さえある。
二人の演技は見ごたえがあった。

そしてもう一つ印象に残ったのがヘクトル、パリスの父プリアモス。
アキレスの下に跪くくだりのシーン。
父親としての愛の深さにはぐっとくるものがあった。
同時に最後まで神を信じきった故に燃え盛るトロイの街をみて彼は何を思ったか。
頭の中は「なぜ」で混乱したまま死んでいったに違いない。

アキレスやヘクトルは神を見ずに現実を見ていた。
プリアモスは神を判断基準にしていた。
これをもってプリアモスはアホという結論にもなろうが、むしろ当時の価値観では彼の判断がしごく常識的かつ当然。
今でも神の「不在」や「裏切り」によりこのような心境で死に至る人も世界では普通にあることだろう(あまり日本人にはないテーマだが...)。

戦闘シーンなどハリウッドらしい映像に満ちていながら、男女、親子、兄弟の愛といった内面部分が良く描かれ、またそれらが戦局の変化を、引いては歴史を作ることになったということも比較的無理なく描かれている。
ただし(史実とはいえ)最初のパリス、ヘレンの恋愛が戦争を引き起こした点に「どうなのこれ」と思ってしまい、苦労やトラウマを持ちながらも最後はそんな二人が綺麗に生き残った点にもう一度「どうなのこれ」、と思った人は全く感情移入できないかもしれない。

ストーリー 3
演出 4
音楽 3
印象 2
独創性 4
関心度 3
総合 3.1

40/2023