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少女邂逅の8637のレビュー・感想・評価

少女邂逅(2017年製作の映画)
3.7
僕も冗談半分でクラスの女子に「え、リストカットしてんの?」と聞かれた事がある。リストカットは怖くてできない。人生の中で関わりたくない。こうやって映像を通して観ていても痛い。そう思える事が、どれほど幸せか。

可愛いあの子はいじめられていたりする。
救いを求めて縋りついた幼虫。彼らが痛みを知らないことが、どんなに不自由な自由なのか。

「死にたい」の対義語「生きたい」こそが本当は溢れるべき言葉。スマホの中の、クリームソーダ、写ルンです、万引き。その中に、鉄塔、沖縄、田んぼのような「リリイ・シュシュのすべて」的悲愴感もありながら、現代そのものの高度な編集でやりすすめていった尊さ。狭苦しい学校に、カーテンを隔てて作った空間のエモーショナル。そして、将来への不安感。いま自分は勉強ができるのか否か。僕みたいに、彼女みたいに皆悩んでいるのだろうか。
紬の奇妙さは糸によって見え隠れしながらだけど。

ミユリのように悩める少年少女にとって、映画は望みになると思う。
ラストカット、何だか飲み込めないまま終わってしまった。けど、これから先また悩んだ時に観ようと思える映画が増えた。これは正義だ。
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