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女と男の観覧車のninaのレビュー・感想・評価

女と男の観覧車(2017年製作の映画)
3.5
「釣りは嫌いよ。」


観覧車って結構残酷な乗り物だと思うんです。ゆっくり時間をかけて頂上という素敵な場所まで連れて行って、頂上の景色に酔いしれてる内にまた元の場所へと運んでいく。正にそんな観覧車の残酷さをモロに表現していた映画でした。

とにかく登場人物全員クズです笑
一番はもちろんジニーだけど、その他もなかなかのクズっぷり。過去に舞台女優をしていた栄光から抜け出せないジニー、娘と絶縁しきれず連れ子を愛せないハンプティ、若気の至りでギャングと結婚するも逃げ帰ってきたキャロライナ、人妻との不倫に対してなんの罪の意識もないミッキー。もうとことんクズの集まりで、ここまでくると清々しい。全員が全員、自分のことしか考えてない。そんな大人たちの虚しい観覧車に無理やり乗せられている子どもが可哀想だった。

ケイト・ウィンスレット老けたなぁと思って見てたけど、最後のシーンで顔がドアップになったとき、「いや、やっぱり美しいわ」って思った。過去の栄光と若い男に溺れるジニーの皮を被ってた時は、老けた醜いオバサンそのものだったのに、全てに終わりを告げた時、自分を愛してくれてここじゃないどこかに連れ出してくれる人を再び誘惑するため、過去の舞台女優の栄光を取り戻したかのような美しさに戻る。素晴らしい演技力だった。

音楽やセットの再現力が素晴らしく良く、なかなかにオシャレな映画だった。
ポップコーン片手に観たくなる感じです🍿
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