超難解で、哲学的だけどどこか惹かれる映画でした。
もともとこういう難解系な映画は、苦手なジャンルなので、観たときは内心「失敗したな」と思いました。
でも何日か経ってから、妙な感動が蘇ってきて、語らずにはいられなくなってしまいました。
2092年。不死となった世界で、唯一死ぬことができる118歳になったニモが、終焉を迎える瞬間に何を考え一番幸せだったのはどの時か。ニモという人間は誰なのか、それを思い出していく内容です。
そもそも不老不死の人間たちにとって、死ぬと言うことは非常に奇妙でわからない感情です。
だからこそ彼らはもうすぐ死ぬニモにどういう感情で最後を迎えるのか興味があり、ニュースでも取り上げられるほど。
必ず死ぬ、僕らのような人間にとって、生きていくために必要なことといえば、人生を選択することです。
選択するなかで、良い方向に進むこともあれば時に自分の命を失うことだってある。
もし今の両親の間に生まれていなかったら、今の町で暮らしていなかったなら、
離婚した両親どちらについていくか。
どんな小さな選択でさえも、出会う人や人生観、愛する人すべてが変わってくる。
それだけ選択は重要だし、後悔することも多い。
だからこそ、後悔することで人は成長できるし、次こそは大切にしなければと思う。
不死である人間たちからすれば、どう頑張っても死ねないので、選択することも、後悔することもほとんどないだろう。何度だってやり直せるし。
しかし僕たちは簡単にやり直すことはできない。なぜなら人生は一度きりであるからだ。
そして人は死ねるからこそ終焉を迎える時に過去は輝かしく美しいものとしてみえるのかもしれない。
またニモはラテン語で、誰でもないものという意味。
ニモ自身も私は誰でもないと言っていたが、彼は元から存在していないのだ。
そして個人的に観る人それぞれの自分自身である思う。
これは私たちの人生なのだ。
それにしても、難解すぎるのでもっと分かりやすくして欲しかったのと必要ないシーンが多かったのが気になった。
ただアンナとのシーンは、男の僕でもドキドキしました(笑)
映像、言葉どれもが幻想的で、芸術的で言葉では表せないぐらい良作だったと思います。