はくあ

THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY リミット・オブ・スリーピング ビューティのはくあのレビュー・感想・評価

3.6
分裂したギラギラの妄想をぶつけてくるだけの映画である……んだけど、映像のつくりがしっかりしていて高橋一生がカッコいいのでなかなか観られる。高橋一生が好きな女性の気持ちをようやく理解した。これはすごいわ……。
冒頭で高橋一生が主人公をナンパするんだけど、あれを回避する方法はちょっと思いつかない。将来は高橋一生になりたい。もしくは高橋一生にナンパされる人になりたい。

さて、この映画は「1.時系列」と「2.現実か・虚構か判別がつく」という軸がどちらも一気に破綻している。
破綻させることは映画にある種の効果をもたらすが、このふたつを同時に壊しちゃうのはよくない(と僕は思う)。
たとえば1だけが破綻しているのは「パルプ・フィクション」。各シーンが時刻順に並んでいないことが映画にスリルをもたせているが、元どおりに並び替えるとなんということはないギャング映画になる。
2だけが破綻しているのはマジックリアリズムと呼ばれるようなジャンルで、つまり現実と虚構の境目があいまいになっている。だが時間の流れという点では、ふつうの映画のように見ることができる。(ホドロフスキー諸作品など)
ここまで長々と書いてしまったが、要するに1と2を両方無視するのはよくない。その意味ではこの映画は破綻している。
それでもお洒落だからいいじゃない、という目線で見られるかどうかがこの映画に対する評価をわけると思う。僕は西洋かぶれなので日本映画くせえなあと思ってしまった。逆にこれこそが日本でしか撮れない貴重な映画なんだと考えることもできる。
まあ、華麗な色調とか、あまりにもあざとい屋上のセットとか、ラストのガンアクション(ス○ラトゥーン!)とかいいところはたくさんあった。映像ドラッグとして摂取するのが正解かも。
それと、「精神病」「妄想」「夢」というキーワードで見るにはあまりよくない映画だと思う。妄想は道具として使われているだけでこれらの概念に対する洞察は特にない。電気ショック療法を拷問みたいに使うのもよくない。

まとめ
高橋一生〜〜!
はくあ

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