にしやん

金子文子と朴烈/朴烈(パクヨル) 植民地からのアナキストのにしやんのレビュー・感想・評価

4.2
平日の最終回にも関わらず満席や。
植民地支配と民族差別と闘う朝鮮人男性アナキストと、幼少の頃から親、家族どころか国家からも見捨てられて生きてきた日本人女性アナキストが、民族の壁を越え、たった二人で、共に生命を賭けて当時の帝国主義、ファシズム国家権力に立ち向かう姿を描く、実話に基づいた骨太の力作や。
朝鮮人と日本人の、この二人のアナキストの美しさと比べて、自分達の犯した国家的犯罪を隠蔽することに躍起になっとう権力者の醜悪さって何なんやろ?
この映画の優れたところは、決して朝鮮人と日本人との単なる民族の二項対立としてではなく、民衆の同士の民族的対立を煽りそれを謂わば隠れ蓑に、他民族のみならず、自国の民衆をも支配し、搾取するファシズム国家権力の本質を炙り出そうとしとうとこや。
どこの国でも国家権力が自分等で失敗しでかしたり、都合が悪いこと起きたり、うまこといかへんようなると、すぐ民族対立を煽って自分等に民衆の矛先が向かへんやようにすんねん。また、国民の多数もまんまとそれに引っ掛かってまう。あかんで、ほんまの敵を間違うたら。日本の民衆、韓国・北朝鮮の民衆、中国の民衆みんないがみ合っとっる場合やないで。それぞれの国家権力、支配階級の思うツボやがな。
この二人のアナキストがな、時代を越えて、民族を越えて、それを我々に警告しとうわ。「隠そうとしても、いや、隠そうとすればするほど、事実は明るみに出るものだ!それが歴史の流れだ!」の朴のセリフがわしの胸にグサっときたわ。
真実は一つや!
それにしても「15円50銭」、最悪やな。日本人としてほんま悲しいわ。
にしやん

にしやん