Yukenz

エンドレス 繰り返される悪夢のYukenzのレビュー・感想・評価

3.8
2人の父親のそれぞれの我が子に対する想いと、青年の恋人に対する想いが色濃く絡み合う異色のタイムループ作品だった。
3人の男たちそれぞれの正義もあり、相対する人物たちの行動の善悪を評価することは難しく、勧善懲悪とはならない。ハラハラが持続して最後まで予断を許さない展開は秀逸。

結局は因果応報ということなのだろうか。自分の行動には責任が伴うし、他者を騙したり欺いたりすれば、それは巡り巡って自分に跳ね返ってくるのだと。

受け入れ難い事実を認めるのも、怒りの元凶に復讐するのも、どちらもとてもエネルギーが必要だし本当に葛藤が止まない辛い行動なのだと思う。

いくら憎くても相手方の子供や恋人には罪がないし、罪なき人を傷つけるのは誰が見ても納得出来ない悪事で不幸しか産まない。自らの正義のためならば手段を問わずに他者を排除するという行動も道理に合わない。
理性では分かっている筈なのに当事者になるとああも行動のタガが外れてしまうものなのか…それが人間の性というものなのか…

本作ではキレイな形で着地させたが、とても考えさせられる深いテーマだった。
Yukenz

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