くるぶし

寝ても覚めてものくるぶしのレビュー・感想・評価

寝ても覚めても(2018年製作の映画)
4.2
朝子を受け入れられるか否かで評価が割れる作品。

朝子は下手をすると女性からも男性からも反感を買うキャラクターだ。真実の愛のために生きた、という安い言葉では表現しようがない悪女にも見える。

けれど、周囲の人々の反対を押し切り、愛してくれる人を傷つけても尚、自分の気持ちに正直に選択し行動に起こす。果たしてこれのどこが悪いのか。

その後ラストまでの流れも朝子の中では全くもってブレがないように感じた。
だって麦との約束を守っただけだから。

自分は朝子のようなヒロインが受け入れられる世界であってほしいと心から思う。
そして、朝子のようなヒロイン像が登場したということだけで、日本映画の未来は明るいなと思った。

亮平については、自分は顔で選ばれたのかと疑心暗鬼になりながらも朝子に寄り添い、共に暮らすことを選んでいる時点で朝子から逃れられないことを悟っていた気がする。
ストーリー上で腑に落ちないところはなく、その点でも濱口監督の脚本・演出のキレ味は抜群。

見終わったあとにタイトルの意味を考えて欲しい。過去の自分といまの自分が、寝ても覚めても…の後につづく言葉に表出するはずだから。
つくづく恋とは、人間の愚かさや惨めさを抜きに形成されるものではないのだな…。
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