くるぶし

別れる決心のくるぶしのネタバレレビュー・内容・結末

別れる決心(2022年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

忘れないうちに個人的な解釈を思い出したら記録していきます。
完全にネタバレなので未見の人は見ちゃダメです。

近年稀に見るブッ刺さり方をしたので試写会と先行上映で2回見ました。個人的解釈なのであしからず。


【ソレのしたたかさ】
最初から、ソレは“従わせる女”なんですよね。韓国語が話せないというソレに、ヘジュンは“わかりやすい言葉で説明しろ”と後輩に指示をする。被疑者と警察官という立場であれば、従わなければならないのはソレなのに、すでに関係性ができている。
2人は互いに観察&録音することで惹かれあっていきますが、ソレは自分が殺人を犯した証拠を消さなければならないので、ヘジュンの部屋にいって写真を燃やしたり、寺で録音を聞いたあと音声を消している。この辺りは、逆に裏のないヘジュンの純粋さにぐっときます(わたしが)

【ヘジュンの靴】
第2部で「暴力と殺人」にしか興味がなかったヘジュンは、ソレと別れ、妻がいる霧が立ち込めるのどかな街に移住します。釜山とは違い、凶悪な事件の犯人を走って追いかける必要もなくなったのでスニーカーではなく革靴を履き、スマートウォッチは普通の腕時計に。
ソレはヘジュンが革靴を履いていることを確かめる。
ラストシーン、海でソレを探すヘジュンはスニーカーを履いている。これはヘジュンの愛が戻ってきたということではないかと。

【ラストシーンについて】
第一部のラストで、「崩れて壊れる」というヘジュンの言葉を録音していたソレは、ヘジュンが自分の警察官としての信念を曲げてでもソレをかばい「誰にも見つからないように(証拠を)海へ捨てて」といった言葉をヘジュンからの『愛してる』(告白)と受け取った。
だから「愛してるって言ったでしょ」というソレと、「愛してるなんていったことない」というヘジュンに食い違いが起きている。

そして「誰にも見つからないように(証拠を)海へ捨てて」を「愛してる」と捉え、「あなたの未解決事件になりたい」といったソレは、自らを海に沈めることで永遠にヘジュンに愛されようとした。これをソレの呪いと捉える人もいると思いますが、海の下にいるソレは、ヘジュンがスニーカーを履いている=警察への誇りを取り戻したと、喜んでいるのではないかなぁ。

【追記①】
ソレが猫に「あの親切な刑事の心臓を持ってきなさい」と言ったところ、翻訳アプリあるあるでおもしろかった。“心が欲しい”
마음→心
심장→心臓
音は全然違うけど中国語→韓国語の翻訳だと誤変換ありうる
そしてこの時点でソレ→ヘジュンの気持ちがわかる。

【追記②】
あと勘違いしてる人多いようですが韓国国内ではそこまでヒットしてません
動員数、お嬢さんは428万人、別れる決心は198万人(昨年末)。スラムダンクが380万人超えて日本映画歴代1位に…
ただ脚本集がベストセラーになっていて、台詞ブームのようなものが起きました。
「すしを口にくわえるように、一段一段登れば頂上」という台詞はBTSキムナムジュンも言ってましたね〜
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