ShiroKyogoku

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法のShiroKyogokuのレビュー・感想・評価

4.2
貧困をテーマに、無邪気な少女を中心として描かれた、なかなか胸が苦しくなる作品。
と言っても、決して暗い描き方ではなく、むしろ子供目線で捉えられた貧困の日常を映し出しているので、毎日の世界がとても楽しいものとして表現されている。
そして、それが逆に切なくて辛くなってしまうのだけれど、物語を通して、母子の愛情の繋がりだけは揺るぎない点は、貧困でありながらも最悪の不幸を回避し均衡を保つものとして、なんとか観ている側の心も救われる。

経済的な貧困は、さまざまな別の貧困の要因、例えば教育の貧困や倫理的側面での貧困へと結びつきやすい。
また、現実にある問題として、「貧困は遺伝する」と言われるように、現代社会においての貧困は、世代を重ねてスパイラルとなりやすく、一度転落してしまうと、その当人が、なかなか戻る事が難しいばかりでなく、それは子の世代、孫の世代へと影響を及ぼしてしまいやすい。
このような社会の枠組みの問題に、どのように取り組んでいかなくてはならないのか、また、自分が、そのようになってしまうような事があった時に、どのように生きていくべきなのか、等を考えると同時に、善い、悪いや幸福、不幸といったものは、一体何によってもたらされるのか、という根源的な問題についても考えさせられる、良い作品だった。
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