みかぽん

ガーンジー島の読書会の秘密のみかぽんのレビュー・感想・評価

3.8
古本屋さんのデータベース化は意外と遅く、ある時期まで絶版本は神保町の古本屋をしらみ潰しにあたるしかなかった。
ようやく見つけ出し、手に入れた時の高揚感。しかし読み進めると前の持主によって線引きされた文章に唖然。いくら心に留めたい一節であっても、本に線を引くなんて私はしない…といささか憤慨するのだが、反面、心に残る部分がその元持主といくつか重なり始めたりすると次第に、「この人はこの時どんな気持ちだったんだろう」「もしかしたら友達になれる人かも」「でも、どうしてこの本を手放したんだろう…」などと、同じ本を手にした、会うこともない誰かに対して思いを馳せている自分がいたりした。

作家の沢木耕太郎は、長い旅の途中(「深夜特急」のモチーフとなった旅)のイランで、同じバックパッカーから山本周五郎の文庫本を譲り受け、その一節に涙。50年後に山本のアンソロジー出版の選出を引き受ける事となり、彼の本と出会った当時とその後についてを、この本の後書きに綴っている。
あるいは、星野道夫の著作からはこんな素敵な企画も生まれていたりで(それにしても、亡くなってもう20年が経過したなんて…😢)。
本には人を引き寄せ、時にはその人の運命さえも変えてしまう不思議な力がある。
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心の声に従って一歩先に踏み出す勇気は、無意識にまとう自身の殻から破り出て、その先の未踏へ辿り着くための可能性だ。
エリザベスが生きた時代は、こうした声の体現が全て踏み付けにされる時代であった。
そのような悲しい世界を、この先の我々は二度と作り出してはいけない。
みかぽん

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