“我々は、夢や想像力で厳しい現実から逃れる事ができる。“
映画って凄いなって改めて感じたのは、１つのストーリーでも何百通りの映画になり得るという事。この話だって監禁の期間をもっと詳細に写すこともできただろうし、外の世界に出てからの適応できない“ルーム”のような話にもできたと思う。だけど、この作品が切り取ったのは人間の“温かい部分”だけ。
本当の家族や、新しい友達、担当した刑事そして犯人だった夫妻までもその人間のいい部分を写し、とんでもない事件なのに全体として温かい涙が溢れるような作品になっている。特にスマイリー姉妹に会いに行くシーンで涙腺が緩んだ。ブリグズビーベアは架空の物だったけど、ならばそれを現実にすればいいと考えるジェームズ、ここで最初のニセ父親の言葉が大きな意味を持つ。
確かにブリグズビーは犯行の傷跡だけど、それでも彼がいなければジェームズは生きていけなかった。25年の空白を埋めるように悔しさや怒りを抑え、みんなで続きを作ったブリグズビーベアは優しさに溢れていた。
