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ブリグズビー・ベアのrage30のネタバレレビュー・内容・結末

ブリグズビー・ベア(2017年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

シェルターの中でSF風の教育ビデオを見続けていた、主人公ジェームス。
彼が象徴するのは映画やアニメばかり見続けて、社会から孤立してしまったオタクを表しているのでしょう。
「私はオタクである」という自認がある人なら、共感せざるを得ないキャラクターでしたね。

映画の冒頭で、「人間は夢や想像力で厳しい現実から自由になれる」という台詞がありましたが、ジェームスは厳しい現実を乗り越える為に、映画制作に乗り出します。
作品への愛や情熱を武器に世界と戦う…オタクにとって、これ程に熱い展開はありません。

そして、この映画制作を通して、彼は友人を得て、家族に受け入れられ、自らの過去と向き合います。
ジェームスにとって映画制作は、成長の旅であり、癒しの旅であり、再生の旅でもあったのです。

設定はともかく、話としては、すごくシンプルな成長物語。
でも、枝葉として、様々なテーマやメタファーが込められている様に思いました。

例えば、“ブリグズビーにハマるジェームス”は、「子供が如何わしい趣味を持ったら、どうすべきか?」という親の悩みを考えさせるし、
“ブリグズビーの作者が誘拐犯”というのは、「制作過程に曰くのある作品とは、どう向き合うべきか?」という視聴者の悩みを考えさせます。

その答えとして、この映画が提示するのは「許す事」、そして「受け入れる事」。
悪い部分だけを見つめるのではなく、良い部分も見つけて、良い部分だけは認めてあげる。
それは趣味や作品に関わらず、人間との向き合い方にしても、同じ事が言えるのではないでしょうか。


正直、ジェームスのキャラクターが、あまりにも自分と重なる部分があり過ぎて、最初から感情移入しっ放しでした。
彼に嬉しい事が起こるだけでも泣けるし、悲しい事も泣けるし…で、常時号泣状態でしたね。笑

多く映画を見てると、「この映画は私の為に作られた映画だ!」と思う作品と出会う事がたまにありますが、本作は正にそれ。
ジェームスの為に『ブリグズビー・ベア』が作れらた様に、私の為にこの映画は作られたんじゃないか?と思ってしまいましたよ。笑
個人的にはそれくらい愛おしい作品です。

ブリグズビーの存在がジェームスを勇気付けた様に、今度はジェームスが私を勇気付けてくれる事でしょう。
そう思える作品と出会えて良かった!
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