ナツミオ

タクシー運転⼿ 〜約束は海を越えて〜のナツミオのレビュー・感想・評価

3.8
NHK-BSPプレミアムシネマ
録画鑑賞
当時、学生だった頃にニュース映像で知った光州事件。
国民を守る軍隊が学生や市民に銃を向けた事件は衝撃的。

1980年代の光州事件を背景に、反政府デモ弾圧の真実を追い求めたドイツ人記者と彼を助けた人々を描く実話をもとにしたドラマ。

2017年アカデミー国際長編映画賞韓国代表作品。

原題:『택시운전사』(タクシー運転手の意味)
英題:『A Taxi Driver』

2017年韓国作品
監督 チャン・フン
脚本 オム・ユナ
音楽 チョ・ヨンウク
出演 ソン・ガンホ トーマス・クレッチマン ユ・ヘジン リュ・ジョンヨル
字幕翻訳 神田外語大学字幕制作チーム
字幕監修 本田恵子

(kinenoteあらすじより)
1980年5月。ソウルのタクシー運転手マンソプ(ソン・ガンホ)は、ドイツ人記者ピーター(クレッチマン)から「通行禁止時間までに光州に行ったら大金を払う」と言われ、英語もわからぬまま光州に向かう。マンソプはタクシー代を受け取るために機転を利かせて検問を通り抜け、時間ぎりぎりで光州に入る。「危険だからソウルに戻ろう」とマンソプは訴えるが、ピーターは大学生ジェシク(リュ・ジョンヨル)と光州のタクシー運転手ファン(ユ・ヘジン)の助けを借り、撮影を始める。状況は徐々に悪化し、1人で留守番をさせている11歳の娘が気になるマンソプはますます焦るが……。

実話をもとに描くドラマ。
当時の韓国は、軍事独裁政権。
民主化運動の発端の時代。
1988年ソウル五輪のたった数年前に起こった民主化運動の弾圧事件。
光州事件を撮影・報道したドイツ公共放送連盟(ARD)東京特派員、ユルゲン・ヒンツペーターをモデルとしている。
当時見たニュース映像が、彼が撮影したものだと思うと非常に興味深い。

韓国映画には疎い私ですが、昔から唯一好きな俳優、ソン・ガンホ。『シュリ』(1999)で初めて観たときは、韓国の「毒蝮三太夫」(古い!)的な風貌で印象に残った俳優さん。
やっぱり、いい演技をしますね!
近年の『パラサイト〜半地下の家族』での演技も印象深い。

前半は、コメディちっくな描写もありますが、光州市へ入ってからは、シリアスな場面の連続で、
特に、後半の軍隊が無差別に市民に発砲するシーンは、息を飲む迫力でドキュメンタリーを見ている錯覚に陥ります。

通訳代わりの大学生ジェシク役リュ・ジョンヨルも中盤のコミカルな歌と踊りから一転した展開や、
光州のタクシー運転手ファン演じるユ・ヘジンと仲間たちの捨て身の献身ぶりも印象深い。

終盤、2人が市内から脱出をはかり、軍の検問所で車から”ある荷物“を発見した兵士は何故見逃したのか?

歴史は繰り返される。
実話の重みを感じた作品。
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