わたふぁ

ライオンは今夜死ぬのわたふぁのレビュー・感想・評価

ライオンは今夜死ぬ(2017年製作の映画)
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「大人は判ってくれない」から60年以上、ひとりの人間の生き様が脈々とフィルムの中に残ってるってすごい。もはや役柄≒人生で、フィクションの中に常にドキュメンタリー要素を孕む。

それはレオーに纏わるものに限らず、劇中でワキャワキャと映画制作する子供たちの要素も含まれる。実際に自分たちで考え、話し合いをする中で発見した“映画”をつくっていく。そんな本物の空気感が美しい映画でもあった。

年老いた俳優は、死を演じる難しさを感じていた。撮影の休みを利用し、かつて愛した女性ジュリエットの家を訪ねることに。するとそこに、若く美しいままの姿の彼女が現れる。
郷愁に浸るジャン。少し狂気じみた妄想は、美しくも悲しいものがある。しかし映画制作中の子供たちは、その背景など知る由もなく、“おじいちゃんと幽霊の物語”を作り始める...。

急に大きな声で歌い出したり、子供に向かって、ゴリラのように果物を投げつけたり。レオーを変人扱いすることは、もしかしたらフランス人監督だったらなかなかできない偉業かもしれない。
日本人監督による作品で、まだまだ生命力に溢れた73歳のレオーに出会うことができて嬉しかった。