zat

カランコエの花のzatのレビュー・感想・評価

カランコエの花(2016年製作の映画)
4.0
1時間に満たない尺とは思えない重みのある作品だった。
主人公の庇うつもりの言動が一番当事者を傷つけていていたたまれない。
小中学生の頃、バカとかアホと同列の罵倒語として「シンショー(身障者)」という言葉が流行るという子どもとはいえ最低過ぎる事があって、「そう言われたら悲しいから言っちゃいけないんだよ!」としっかり者系の女子が男子たちを叱ってたことを20年ぶりくらいに思い出した。
無知と想像力の欠如って本当に恐ろしいし常に自戒しないといけない。
それにしても、クラスメイトたちのキャラクター分布とかそれぞれの反応とかがいちいちリアルで身に覚えがあり過ぎる。監督と世代が近いから余計そうなのかも。今なら噂もSNSで流れるだろうし、もう少しLGBTに対する感覚も違うだろうし…
逆光の鏡台のシーンとか、思春期の不安定な心の揺れを表すような手持ちカメラのブレとか、微妙な表情の変化をすかさず撮ってたりとか、印象的なショットがたくさん。唯一の劇伴が高校生のリアルな演奏というのもすごく良い。
最後はご都合主義なハッピーエンドではなく、かといって絶望で終わらないような仕掛けがあって(そのせいで却って胸を締め付けられるけど)じゃあ登場人物たちはどうすれば良かったのか、或いは私たちはどうするべきなのかと問い掛けられているようだった。
zat

zat