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カランコエの花のNAOKIのレビュー・感想・評価

カランコエの花(2016年製作の映画)
3.8
遠い記憶ですが…

ある日…小学校の教室に知らないおじさんが入ってきて授業を始めた…
「日本には現在…いわれのない差別で苦しんでいる人が大勢います…」

「同和教育」でした…
現代でもやってるのでしょうか?

終わった後…ちんぷんかんぷんのおれは比較的仲の良かった担任に休み時間に質問したのです…

「先生…さっきの差別って江戸時代の士農工商・えたひにんっていう階級差別が現代にも残ってるってこと?」
「そうなんだ…今でも裏でそういう名簿を作る人がいて就職や結婚で差別されてるんだ」

小学生のおれは混乱しました…まるでSFみたいな話だと思いました…
江戸時代の風習が?

「先生…僕はそんなこと知らなかった…知らないからそんな差別もしない…さっきの授業でその事を知ってしまったらそこから差別が始まるんじゃないですか?さっきみたいな授業…やらない方がいいんじゃないですか?」

「確かに『寝た子を起こすな』って議論もある…でもな…無知が差別を助長させることだってあるんだ…その無知のせいで江戸時代の差別が今まで続いてしまったかもしれないんだ…ちゃんと勉強してみんなと話し合って自分がどうするかをちゃんと考えなきゃダメだ…」

おれの小学校はド田舎にあってその地区では「部落」という言葉が大人の間で普通に使われていた…
おれは担任に聞いた…
「じゃあ…○○部落とか□□部落もそうなんですか?」

すると担任はちょっと慌てたみたいに…
「いや、この地区の部落とさっきの授業に出てきた部落は違う…この辺りに同和地区はないよ」
…と答えたのだ。

小学生のおれはそんな担任を見ながら…
「この人…差別してるじゃん」
…と思ったのでした…


「カランコエの花」
高校で行われた「LGBTについて」の授業がクラスに思わぬ波紋を広げる…39分の短いけれども実に充実した素晴らしい映画!
出演者たちの自然でリアルな演技が素晴らしく考えさせられる…

分かってない男子にイラつく…とか…善意から生まれる残酷もあるんだよ!…とかそんな簡単な話じゃないんです…

みんなに観てほしい…
監督と出演者によるオーディオ・コメンタリーも是非!

家を出て遠くに暮らしてる高校生の息子によく映画を送るんだけど…この映画も送ってやろう…
「親父はおれのことをゲイかジェンダーだと思ってるのかな?」
そう思うかもしれない…


この映画から連想したおれの思い出を先に書いたけど…「えた・ひにん」がスマホで漢字変換出来ないのを不思議に思ってネットで調べてみたら…

今の学校教育からは姿を消しているらしい…おれはちゃんと漢字で習ったぜ…

言葉がなくなるくらい差別もなくなってるんだろうな?え?文科省よ…

「えた・ひにん」について勉強したい人は白土三平先生の名作マンガ「カムイ伝」を読んでください😸💦
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