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デイアンドナイトのkyokoのレビュー・感想・評価

デイアンドナイト(2019年製作の映画)
3.7
なんで先行上映が秋田なの?と思ったら、オール秋田ロケだそうで。
ビュースポットとしての風力発電を売りにしたい秋田としては、これはかなりの宣伝効果になったと思う。
冷たさや厳しさを感じるときもあれば、自由や強さを感じるときもある、風車の光景をものすごくうまく使っていた。
昼と夜を交差させた疾走感あふれるシーンもスタイリッシュ。秋田なのに誰も訛ってないけど、まあいいか。
あと、冒頭で主人公の家にコメント取りにきた週刊誌?の記者。いまどき鳥打帽って、昭和30年代かよ!秋田バカにすんなよ!(笑)

軸になる話のひとつは自殺した父親とその無念を晴らしたい息子。
企業にべったりと寄りかかっている地方で生きていくことは澱の中に沈んでいるようなものだ。ぬるぬるとしていて外は見えないけれど慣れれば居心地はいい。死んだ父親の無念をはらそうとすればするほど、その澱はヘドロのようにまとわりついてくる。終盤のドロドロはまさにそんな感じでなかなかの迫力だった。(阿部進之介のイっちゃってる顔が怖すぎてここだけ完全にホラー)

もうひとつは児童擁護施設の男と罪の話だけれど、こちらは「正しいことってなんだろう?」と考えるには、善悪のバランスがね……。明らかになった真実にもちょっとムリがあったかなあ。
ちょっと前までは「この子かわいいけどヘタクソだな~」という印象だった清原果耶ちゃんがとても良かった。そして相変わらず演技が微妙な安藤政信の、東北の田舎の養護施設にそぐわない都会感はどうなの。

ちょっと説明過多だったり、そんなに都合よくはいきませんて、と思う部分はあるけれど、テーマの重さやあまり体調が良くなかった割には134分はぜんぜん苦痛じゃなかった。

大野奈々の名前で歌う果耶ちゃんの透明感のある声がグッド。
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