むさじー

30年後の同窓会のむさじーのネタバレレビュー・内容・結末

30年後の同窓会(2017年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

<戦争の意味と深い悲しみの狭間で>

ベトナム戦争で心身共に傷ついた男たちが30年ぶりに再会し、イラク戦争で死亡した息子の遺体を連れ帰る旅なのだが、そこに彼らの過去のトラウマが重ねられていく。
次の二つのシーンが印象に残った。
1)三人のせいで苦しんで亡くなった戦友の母親を訪ね、真実を打ち明けようとするものの、「友を救って戦死した」と信じる母親には言い出せなかった。
2)戦争以外の不慮の死を遂げた息子をどう弔うか迷うドクだったが、結局、軍服を着せ軍隊式の葬儀を行い、息子もそれを望んでいた。
この母親もドクも、似たような立場にあったのだ。
「何のための戦争だったのか」よく分からず、真実も見えず、個人の尊厳と遺族への配慮のために、全て“英雄的戦死”という美名で覆ってしまうことへの揶揄が見える。
諦め半分だが、それを当人も遺族も望んでいるところに、戦争を繰り返してきたアメリカという国の不幸も見える。
「避けられない戦争を自分の人生でどう意味づけるか」、国策と自分の折り合いが求められているようで辛い。
ロードムービーらしくない会話劇で、回想シーンもなく30年という時の流れを描くあたりがリンクレイター監督らしい。
そしてコメディタッチではあるのだが、その笑いは苦く重く、一見粗野、敬虔、真面目という三人のバカ話がしみじみと心に響く。
むさじー

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