タキ

30年後の同窓会のタキのレビュー・感想・評価

30年後の同窓会(2017年製作の映画)
4.3
「戦争の目的とは何だったのか」
息子の死と同僚の死によって繰り返されるこの問いの答えを男たちはとっくに知っている。政府の欺瞞に満ちた理由によって兵士はベトナムやイラクに駆り出されその戦争に実は目的などなく死の意味などないのだ。けれど人はそこに意味を見出さないとやりきれないわけでその折り合いの付け方を初老の3人の男たちの旅路を通して見つめていく。分かりやすい反戦映画でもなく、かと言って愛国心がぎっちり詰まった映画でもなくなんとなく現状に満足しようとしている一般市民のリアルさがあった。
「あの頃」に、心にも身体にもたくさんの傷を負って思い出したくないことの方が多いようだったのにオジサン3人で話してるうちにいい思い出になっていってるのがちょっとセラピーっぽくもあった。狡いけど残されて生きていくためにはこうするしかないっていうのもすごくわかる。
こう書くとしんみりした暗い映画のようだけどコミカルな掛け合いが面白くて全体のカラーとしては明るい。ホモソノリは本来苦手なんだけどブライアン・クランストンの流れるような下品芸にはちょっと笑ってしまった。オジサン3人がワイワイ言って携帯電話ショップで買い物してるくだりが1番好きだった。こんなおとなしい役のスティーブ・カレルを初めて見た。高めの特徴的な声を役によって自在に使い分けている。この映画、バトル・オブ・ザ・セクシーズと同じ年に公開していてそのバケっぷりに驚愕する。
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