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30年後の同窓会のマーチのレビュー・感想・評価

30年後の同窓会(2017年製作の映画)
3.5
サッカー日本代表⚽️
初戦突破おめでとうございます🎉
ということで、本日のレビューです。笑


今作は、哀愁の余韻が後を引きます。

【レビュー】

《BCD》

スティーヴ・カレル、ブライアン・クランストン、ローレンス・フィッシュバーンの共演で、監督がリチャード・リンクレイターとくれば劇場で観ない理由がないでしょう!!

スティーヴ演じるドクが息子の戦死をきっかけに、旧友の(ブライアン演じる)サルと(ローレンス演じる)ミューラーに会いに行き、3人で息子を故郷へ送り届けて葬式を行うまでを描いており、意外な展開こそないものの、淡々と流れるオッサンたちのロードムービーに青春の甘酸っぱさすら感じました。

結論を言うと、個人的にはそこまでがっつり本作がハマった訳ではなかったのだけれど、それは年齢的な部分が枷になっているなと合点した。観に来ていたお客さんの年齢層が結構高かったことからも、ドクたちの年齢に自分が達した時にこの作品をもう一度観てみることで、何か違った感覚を抱くことが出来ると思う。ドクたちが青年期を思い出してバカ話を語り合うように、いつしか自分の学生時代と重ねて今作を観ていたことから、人生における過去の俯瞰を楽しむ映画なのかもしれないと思ったりもした。

電車の件なんてアホらしくて笑いが止まらなくなるほど最高だったし、最初は落ち着き払っていたミューラーが“らしさ”を爆発させるところが久し振りに友達と会った時のあるあるで変にリアリティを感じて面白かったし、サルがひたすら喋り倒してふざけているのに重要なところでは真面目に己の意見を突き付けるそのギャプにやられた…ドクは静かだけど1番いいヤツだし、口を開いたかと思えば笑いを掻っ攫うのが個性的でスティーヴ・カレルの好演も相俟って物語を牽引する主人公として輝いていたから、リチャード・リンクレイター監督はやっぱり人物造形描写が卓越していると思うし、その辺の才能が抜きん出ていることを今作で再認識した。

また、主要3人の演技が抜群に上手いのは言うまでもないことだと思うけれど、特にスティーヴ・カレルは父親としてのドクと友人への愛着を持つドクという二面性を繊細に演じ切っていてさすがだった。ほんと自分好みの演技だったので、彼の演技で久しぶりにガツンときました。

緩いロードムービーなのかと思ったら、政府体制への批判や反戦の意も込められており、コメディ調子で打ち消すことでバランスを保っているようにも感じられましたが、かなり重い下敷きの中で展開される人間同士の繋がりみたいなものについて深く考えさせられる部分もある、意外と重厚で深みの強い見応えある作品でした。

【p.s.】
今も親交がある学生時代からの友達と、数十年後に会った時に今作の3人の様な関係でいられれば幸せだと思うし、いい人生を歩んで来れたなと感じるはずです。

また、痛みを同じように感じてくれる友達がいるっていうのは人生の財産ですよね。

あと邦題とキャッチコピーが雑過ぎです。日本の宣伝担当はもっとしっかりしてください!
原題(『Last Flag Flying 』)がめちゃくちゃいいだけに、態々変える必要性を感じない邦題にげんなりしてしまいました。

ちなみに、本作は原作上だと『さらば冬のかもめ』の続編にあたるそうです。


【映画情報】
上映時間:124分
2017年/アメリカ🇺🇸
原作:ダリル・ポニクサン「Last Flag Flying」
監督・脚本:リチャード・リンクレイター
脚本:ダリル・ポニクサン
出演:スティーヴ・カレル
ブライアン・クランストン
ローレンス・フィッシュバーン 他
概要:戦地で命を落とした息子を故郷に連
れ帰ろうとする男と、同行する友人
たちの姿を映し出す。
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